今は昔、川向こうの八幡市とを結ぶ渡船場が三つもありました。きつねの渡し、広瀬の渡し、そして山崎の渡しで、土地柄いずれも古い歴史をもっています。しかし、それらは明治末期からさびれ、やがて次々と姿を消していき、今はわずかに古老の語り草となっています。
『オーイ 舟を出してんか−』と川向こうの堤から風に送られて声が聞こえます。『ヨオーシ 今いったるで−』と船頭さんの声が返ってきます。『ハハアーン 橋本帰りのごきげんさんやな』とすぐわかります。
当時、橋本は遊郭が賑わっていました。山崎と橋本の間を渡し船が通い、対岸を結ぶ大切な足でした。この山崎の渡しは、きつね、広瀬の渡しがなくなってからも存続し、戦後しばらくの間もありましたが、昭和37年に廃止となりました。現在、川の中州は桜の名所となり、ここから見る天王山は素晴らしい眺めです。
山崎の渡し(昭和37年頃)
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